大塚明夫が語った「声優論」…さらに詳しく「厳しい収入事情」について解説

最新ニュース記事 , 2020年1月4日

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『攻殻機動隊』シリーズのバトー役や、『機動戦士ガンダム0083』のアナベル・ガトー役など、多くの代表作を持つベテラン声優の大塚明夫氏が語る「声優論」。第2回では、「声優業界の収入事情」について解説します。

未来の保証なき声優業は、収入という面から見ても得が少ないと言わざるをえません。大人気の声優をテレビなどで見ればなんとなく「お金持ちそう」と思うかもしれませんが、どんな業界だろうと上位1%の人間は金持ちに決まっています(もっとも、声優業界の上位1%が稼ぐ金額は、ほかの職種のそれよりも低いと思いますが)。

そもそもまともに専業で食える声優自体が少ないのですから、大儲けしている声優なぞ、どれだけ希少な存在かは推して知るべしです。

ほとんどの声優はローンが組めない
単純に儲からないだけでなく、声優の収入は大変不安定です。われわれは声優プロダクションの社員ではなく、自分の名前で仕事をとる個人事業主ですから、できた仕事分の報酬がすべてです。今月の収入は1万5000円、翌月は10万円、その翌月は0円、なんてこともあります。

こういう収入形態で生きる以上、社会的な信用は得られないと思ったほうがいいでしょう。実際、ほとんどの声優は大型のローンが組めないのです。銀行が気前よく大金を貸す相手は、5年後、10年後の収入が約束された人間だけ。「今期の人気アニメで主役をやっています!」と言ったところで、じゃあそのキャラクターはこの先毎日あなたを食わせてくれるんですか、という話ですよね。

もちろん声優全員がローンを組めないわけではありません。私も現在、住宅ローンを粛々と支払っている最中です。「こいつなら金を貸しても戻ってくるだろう」と判断されたから組めたわけですが、デビュー当時にはそんなこととても無理でした。

これだけ読んでもぴんとこないでしょうから、声優の報酬形態について簡単に説明しておきます。声優の世界には「ランク」という制度があります。日本俳優連合(日俳連)に登録している俳優に適用される制度で、現在声優として活動している役者の多くがこれに従って報酬を得ています。

1番下に位置するのが「ジュニア」。これは新人養成期間で、仕事1本当たり1万5000円の報酬が基本です。3年間の新人期間を過ぎると「ランカー」と呼ばれ、出演作品の尺30分に対して1万5000円のランク15を始点に、1万6000円のランク16、1万7000円のランク17……というように1000円単位で値段を上げていくことが可能になります。

30分アニメ一クール(12回分)の主役に指名されたとして、その声優Aがランク15なら、ギャランティーは1万5000円×12で合計18万円というわけです。

また、作品が二次利用されると、「転用料」が発生します。TV/DVD/ネットと3チャネルにわたって展開されれば、金額がだいたい2.4倍ぐらいになるでしょうか。ランク15なら、大体43万円ということになります。「なんだ意外ともらってるじゃねえか」と思われるかもしれませんが、3カ月みっちりやってこれです。主役級の人ですら、これだけでは食っていけないことがわかってもらえるでしょう。

設定は自己申告制ですが、所属事務所のマネージャーなどの判断も関わってきますから、実際はあまり突拍子もないランクにはできないでしょう。呼ばれた仕事が映画だろうがアニメだろうが、基準となるのは原則的に作品の長さであり実働時間ではありません。

30分アニメのために何時間スタジオに詰めていようと、ランク15なら支払われる金額は1万5000円です(状況に応じて色をつけてくれる制作会社や声優プロダクションもありますが)。

https://news.livedoor.com/article/detail/17617877/


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1番高いギャラで4万5000円

時間割増率のほか、先述した「転用料」というものも支払われます。DVDが出る、テレビのロードショーで放映される、劇場放映で使われる、などの場合に発生する使用料ですね。例えば「テレビにかかるときは1.7倍」など、こちらも細かい設定があります。

ランカーのギャランティーに理論上の上限はありませんが、私の知る範囲で1番高いのは4万5000円程度でしょうか。
それを超えるとフリーランク制になり、仕事1本ごとに値段の交渉をする形になります。

時間給は、台詞数などにはかかわらず完全に固定。30分喋り詰めだろうが、「おかえり」の一言だろうが変わりません。
映画やアニメで、メインキャラクターの声優がモブキャラクターの声を兼任していることがままあるのは、声優を1人増やすごとに固定給として1人分のギャランティーが確実に発生してしまうからなのです。

どれだけ喋ってもギャランティーは変わらないという話でいえば、『アダプテーション』という映画の吹替えをやったときのことを思い出します。

主役の2人、チャーリー・カウフマンとドナルド・カウフマンは双子の兄弟なのですが、どちらもニコラス・ケイジが演じており、声も両方私があてたのですがこれがきつかった。

なにしろ、メインキャラクター2人分を1人でアフレコするのです。台本の3分の2近くは喋ったでしょうか。思わず「2人分のギャラをくれよ」とぼやいてしまったものです(もちろんもらえませんでした)。ともあれ、声優のギャラは「発声量」には比例しない、ということです。

そういう意味で、声優にとって費用対効果が高い、「おいしい」仕事はCMだと言えます。拘束時間が比較的短いですし、1日に4本、5本と収録することも可能なのでリターンを大きくしやすいのです。

洋画吹き替えのコスパは最悪
いちばん悪いのは実は洋画吹替えで、コストパフォーマンス的には最悪です。丸1日拘束されてCMの4分の1、5分の1といった収入になることも珍しくありません。

また、たくさんの台詞があればその分たくさんの事前準備がいります。アフレコ現場はあくまで作品を完成させる時間ですから、そこでもたもたと練習するわけにはいかないのです。

自宅で台本を読み込み、映像を見て役者の癖を把握し、何度か1人でリハーサルをする……収入が発生しない作業であっても、少なくとも私はそれを行う時間を設けています。

コストパフォーマンスのことを考えれば、ただでさえ高給ではないのだからそんな練習はしないほうがマシなわけですが、私の目的は金銭的なリターンよりいい芝居を納品することにあるので問題はありません。

がっぽり儲けるために声優をやろう、という底抜けのロマンチストが読者にいるのかどうかわかりませんが、あなたが「あわよくば一攫千金も……」と思っているのであれば改めて言っておきましょう。儲からないよ。


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なんでみんなアニメーターには憧れないんや?


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>>4
憧れているやつが奴隷として使われてるんだよ


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>>4
アニメーターは絵が上手いっつー絶対条件があるが、声優は誰でもなれる …ような気がするからな


取得元:You Tubehttp://kanasoku.info/articles/127982.html